研究概要 |
1.前立腺癌おけるゲルソリンの発現 前立腺癌細胞株におけるゲルソリンの発現をウエスタンブロット法により検討した結果、LNCaP(アンドロゲン感受性),DU145(アンドロゲン非感受性),PC3(アンドロゲン非感受性)のいずれの細胞においてもゲルソリンは発現していた。 前立腺全摘標本27例の連続標本を用いて、免疫組織染色法によりゲルソリンの発現を観察した。あらかじめ、ヘマトキシリン・エオジン染色により癌領域をマッピングした後、癌領域におけるゲルソリンの発現を評価した。術前にホルモン療法を施行した群(16例)としなかった群(11例)に分け検討した結果、ホルモン療法を施行した群はしなかった群に比べ、有意にゲルソリンの発現が高かった。 2.アンドロゲンレセプター(AR)の転写活性に対するゲルソリンの影響 Yeast two-hybrid assayおよびMammalian two-hybrid assayによって、ゲルソリンとARの結合能を検討した。アンドロゲンおよび抗アンドロゲンの存在下でゲルソリンは、ARのDNA結合領域からリガンド結合領域において結合した。 ARの結合領域をプロモーターにもつルシフェラーゼ遺伝子をレポーターとして用いて、ゲルソリンの強制発現の有無でARの転写活性を比較した。3種類の異なるプロモーター(MMTV, PSA, ARE)を用いたが、いずれにおいてもアンドロゲンの存在下で、ゲルソリンはARの転写活性を促進した。さらに、抗アンドロゲン剤であるフルタマイドの存在下でゲルソリンは、ARの転写を促進した。
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