研究課題/領域番号 |
13877266
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西村 和郎 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (80303957)
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研究分担者 |
奥山 明彦 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20093388)
野々村 祝夫 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (30263263)
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キーワード | 前立腺癌 / ゲルソリン / アンドロゲンレセプター / 抗アンドロゲン剤 |
研究概要 |
1.前立腺癌におけるアンドロゲン除去後のゲルソリンの発現変化 アンドロゲン依存性細胞株LNCaPを抗アンドロゲン剤存在下、またはチャコール処理によるステロイド除去血清下で培養し、ゲルソリン蛋白の発現レベルをウエスタンブロット法により検討した。その結果、共にゲルソリンの発現はLNCaPコントロール細胞に比べ、上昇していた。LNCaP細胞のヌードマウス皮下移植モデルを用いて、ゲルソリンの発現を去勢術群とコントロール群で比較検討した。コントロール群に比べ、去勢術群はゲルソリンの発現が上昇していた。 2.アンドロゲンレセプター(AR)とゲルソリンの細胞内局在変化 ARとゲルソリンを強制発現させたCOS-1細胞を用いて、免疫細胞染色により、それぞれの細胞内局在変化を検討した。アンドロゲンを添加後、ARとゲルソリンは一時的に核およびその周囲に集積した。その後ARは核へ集積していったが、ゲルソリンは細胞質に分散していった。 3.ARとゲルソリンの結合部位 ARとゲルソリンの結合能をGST融合蛋白により検討した結果、ゲルソリンのC末端側がARのDNA結合領域およびリガンド結合領域と結合した。 4.ARペプチドによるAR転写活性の変化 ルシフェラーゼ遺伝子をレポーターとして、ゲルソリンおよびAR各領域のペプチドをPC-3細胞に強制発現させた場合、ARの転写活性が変化するか検討した。ゲルソリンの発現によってARの転写活性は促進されたが、DNA結合領域、またはリガンド結合領域に相当するARペプチドは、この転写促進作用を阻止した。 以上より、ホルモン療法下の前立腺癌においては、ゲルソリンの発現が上昇しており、少量のアンドロゲンや抗アンドロゲン剤の存在下でARの転写活性を促進することによって、ゲルソリンは前立腺癌の進展に関与している可能性がある。
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