近赤外分光内視鏡の試作実験において重要なことは、内視鏡用近赤外光源の設計、試作にある。はじめ、ハロゲンランプに干渉フィルターを入れた、760nmと830nmの2波長切替型光源を考案し試作を試みたが、光量が不足する問題が有った。ヘモグロビンの吸収波長において酸化、還元の最も差が出るのは、660nm程度であるので、2波長計測にこだわらなければ、半導体レーザーの使用可能な660〜680nmが適当との判断に至った。これは、通常近赤外分光で、760nmと830nmが使用されるのは、組織浸透性が強いからで、嗅上皮や声帯のような表面情報を得るなら、必ずしも組織浸透性は重要で無く、より確実に研究を遂行できる方法を採るべきと、考えられたからである。このアイデアを元に、方針を1波長計測にし、660nmの半導体レーザーを入手し、内視鏡光源を試作した。 光源の試作と共に、画像データーの取り込み処理、と嗅上皮の観察ならば、ニオイ刺激タイミングを記録する実験制御コンピュータソフトウエアの開発を行った。開発にはLabVIEWとIMAQを用いた。動画としても記録再生可能として、ビデオテープを使わず、直接パーソナルコンピュータで記録可能とした。 現在これらの機器を用い、インフォームドコンセントを得た、正常被験者において、嗅粘膜の観察を始めているが、まだ、良好なデータが得られておらず、画像処理などプログラムの改良を計画中である。
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