研究課題/領域番号 |
13877283
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
暁 清文 愛媛大学, 医学部, 教授 (00108383)
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研究分担者 |
篠森 裕介 愛媛大学, 医学部附属病院, 助手 (60335908)
白馬 伸洋 愛媛大学, 医学部, 助手 (70304623)
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キーワード | 虚血・再灌流 / スナネズミ / 内耳保護効果 / グルタミン酸 / CAP / 内有毛細胞 / 低体温療法 / 虚血性難聴 |
研究概要 |
近年の脳虚血に関する研究によれば、わずか数℃の低体温が虚血・再灌流による神経細胞障害に対して著明な保護効果を示すことが証明されている。そこで本研究では虚血性難聴の動物モデル(スナネズミ)を用いて、低体温(32℃)下に15分間の内耳虚血負荷を行い、常温との比較で低体温の内耳保護効果を蝸電図や組織学的手法を用いて検討し、さらに内耳障害の主因と考えられるグルタミン酸の外リンパ中濃度推移を測定して、以下の結果を得た。 1)CAPは虚血中には消失したが、血流再開通により徐々に回復した。しかし常温群ではCAP域値の回復は限られ7日後においても16.8±8.3dBと域値上昇がみられたのに対し、低体温群では再開通後30分にはすでに虚血前値にまで回復し、7日後においても変化はなかった。2)有毛細胞の脱落割合は、虚血7日後において常温群で内有毛細胞が31.1±8.4%、外有毛細胞が2.4±0.7%であった。一方、低体温群では内、外有毛細胞ともに0.3%以下であり有意に低かった。3)電子顕微鏡による観察では、常温群では内有毛細胞の求心性シナプスに空胞変性がみられたが、低体温群ではこのような変化はなかった。4)グルタミン酸濃度は常温群では虚血開始と同時に上昇し始め、虚血終了時には虚血前の約19倍にまで上昇した。再開通後は徐々に低下し120分後には虚血前の約2倍であった。一方、低体温群では虚血中のグルタミン酸濃度上昇は強く抑制され、再開通後も全く変化はみられなかった。 本研究の結果、低体温療法は虚血性難聴の有力な治療手段となりうることが示された。この治療法は耳科手術における内耳障害防御にも有効であろうと推察した。
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