研究概要 |
骨格筋では神経支配が無くなる事で広範な組織学的、生理学的、生化学的変化が生じており、脱神経筋萎縮の機構が判然とせずこれまで有効な治療法が開発できずにいた。近年Carter,Gulat等の詳細な研究により(1)脱神経筋に見られる萎縮は実際には筋細胞の広範な細胞死であること、(2)再神経支配に伴う筋の再生は筋衛星細胞の増殖により生じていること、(3)筋衛星細胞の数は脱神経後一旦増加するが、その後経時的に減少し、その減少が再生能の低下と関連する事、が明らかにされた。我々も脱神経後の骨格筋におけるアポトーシスを確認し、報告してきている。これらの背景より筋衛星細胞の補充が一旦失われた脱神経筋の再性能を回復させる可能性が考えられた。我々は科研課題番号10770710において筋衛星細胞の初代大量培養法を確立しており、また、筋芽細胞への遺伝子導入法もすでに確立している。そこで、今回の研究では(1)移植経路及び移植法の確立、(2)移植された筋衛星細胞の萎縮筋内での動態、(3)被移植筋の組織学的、機能的回復の評価、をおこなっている。これまでに(1)、(2)に関してはほぼ検討を完了し、第17回日本整形外科基礎学術集会にて結果を報告する予定でいる。
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