研究概要 |
マウスの顔面神経における、神経軸索損傷モデル、及び神経再生モデルを作成し、motopsin, neurosin, GAP-43の発現動態を、in situ hybridizationによって解析した。まず軸索損傷モデルでは顔面神経のbuccal br.とzygomatic br.を耳下腺前縁で切断した。断端を離して神経再生ができないようにした。ひげの動きはその後なくなり、完全に神経麻庫がおこったことを確認した。その後の解析ではmotopsinは損傷後徐々に顔面神経核でのmRNAの発現が減弱した。一方neurosinは徐々に発現が誘導された。GAP-43は発現が非常に強く誘導された。このことから神経機能不全や軸索損傷時はmotopsinの発現は減弱し、neurosin, GAP-43の発現は増強することが示唆された。そして、軸索再生モデルでは同じ場所で神経軸索切断を行い、同時に顕微鏡下に神経縫合行い神経再生を行わせ、以後の経過を観察した。ひげの動きで評価した神経機能再生は受傷後約5週間をピークに観察された。 そして、約12週では完全に機能回復が見られ、再生モデルが機能していることを確認した。機能回復が見られると同時に、顔面神経核ではmotopsin mRNAの発現が徐々に回復し、正常に復した。 NeurosinとGAP-43に関しては、機能不全時にはやはり発現が増強し、機能が回復すると同時に発現が正常時と同じに復した。以上より、これらは顔面神経の機能や再生に密接に結びついているということが示唆された。
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