研究概要 |
上皮細胞では隣接した細胞と細胞の間にはタイトジャンクション,アドヘレンスジャンクション,デスモゾームといった細胞間接着装置が存在し,細胞間隙輸送や極性の維持に関与すると考えられている。我々は,ラット舌下腺のタイトジャンクションに近接した位置に,神経細胞において神経伝達物質の開口放出に関わるSNAREタンパク質の1つであるシンタキシンの存在を認めた。腺腔膜にはアクチンが存在するが,アクチンの局在とは一致はしなかった。シンタキシンには様々なアイソフォームが存在するが,特異抗体およびRT-PCRの結果より,シンタキシン1Aであることを確認した。さらに,抗シンタキシン1A抗体を用い,舌下腺より免疫沈降される分画に存在するタンパク質の検討を行ったところ,タイトジャンクションで機能すると考えられているオクルジンの存在が認められた。一方,ZO-1は認められなかった。さらに,舌下腺において,クロライドチャネルの1つであるCLC-2が細胞接着装置付近に存在し,シンタキシン1Aとほぼ同位置に二重染色されることが免疫組織化学法を用いて明らかとなった。抗シンタキシン1A抗体を用い,舌下腺において免疫沈降される分画に存在するタンパク質に抗CLC-2抗体と反応するタンパク質の存在を認めた。これらのことより,唾液腺においてシンタキシン1Aが機能しているものと考えられた。
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