研究概要 |
1.光硬化型ペースト陶材の開発 最初の試みは,ポーセレンマージン用に(株)ジーシーから発売されている光硬化性のリキッド(マージンポーセレンPLC)をペースト陶材に直接混和して用いる方法であった.しかしながら,これではペーストの稠度が変化し、賦形性が悪くなってしまった。さらに,マージンポーセレンPLCをボディー陶材に混和して大量に用いた場合には焼成後の灰分残留が大きな問題となった。ペースト陶材は元々焼成時に有機成分の抜けが悪く、その分灰分残留に一層の拍車をかける結果となった。以上の理由から、新たな光硬化型ペースト陶材を開発する方向に転換し,2重結合を官能基とするメタクリレートモノマーを加えた形で,現在試作ペーストを作製して実験を行っている。 2.ペースト陶材とオールセラミックスを用いた審美修復法の開発 ペースト陶材は,本来金属焼付ポーセレン用に開発したものであるが,オールセラミックスに応用できれば審美性に優れた修復物の簡便な作製が可能となる.そこで,2種類のオールセラミック試片(In-Ceram Alumina.In-Ceram Spinell)にペースト陶材をレヤリングし,その強度を粉末陶材でレヤリングしたものと比較検討した.ISO6872:1995 Dental Ceramicsに準じて3点曲げ試験を行った結果,ペースト陶材でレヤリングした場合には従来型の粉末陶材で行った場合よりもわずかに高い値を示した.このことからペースト陶材がオールセラミックスのレヤリングに有効である事が示唆され,この成果は,2003年6月にスウェーデン・ヨテボリで開催されるIADRにおいて,Flexural Strength of All Ceramics Layered with Paste Porcelainの題名で発表する予定である.
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