研究概要 |
広島大学歯学部倫理委員会の承諾を得た後,本研究を開始した。 ミダゾラムによる精神鎮静法に先立ち,より一般的な笑気吸入鎮静施行時のデータを採取から開始した。被検者を静寂な部屋で仰臥位とし心電図,非観血的血圧測定,経皮的動脈血酸素飽和度のモニタ,および.BISモニタを装着した後,笑気吸入鎮静法を開始した。至適鎮静度の得られた後,表在知覚計にて疼痛刺激を加えた。鎮静開始前から回復まで,および疼痛刺激時のバイタルサインとBIS値の測定値をパーソナルコンピュータに取り込み蓄積中である。 現時点ではデータ数が少ないため統計処理はできていないが,すべての被検者で覚醒状態から至適鎮静状態に至るまでのBIS値の低下が認められた。しかし,その変動幅は個体差が大きかった。至適鎮静時に不意の侵襲(ストレス)が加わった時のBIS値の変動に関しては個人差が大きく,さらなるデータの蓄積が必要と考えられる。現在の時点では,BIS値が精神鎮静法施行時の鎮静度の評価に利用できる可能性はあり得るが,その具体的な数値による指標に関しては今後のデータの蓄積が必要である。BIS値により不意の手術侵襲による鎮静度の変化をリアルタイムに把握できるかどうかについては,まだ評価の途中段階である。
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