ビーグル犬の左下顎骨前臼歯部に抜歯後、人工的顎堤欠損部を作成した。同時に長管骨より骨髄海綿骨を採取し、人工的顎堤欠損部への自家海綿骨細片移植(以下、骨移植とする)を行った。4、8、12週間の待機後、屠殺をせずに4(8、12)週間後の骨移植部を全身麻酔下に採取し、採取は移植骨のみならず、人工的顎堤欠損断端部の母床骨と移植骨とを一塊として採取、観察した。待機期間4週における骨形成が予想より早かったため、待機期間2週間を追加した。採取と同時に2回目の骨移植を行い、以下同様の手術をもう1回繰り返し、都合同一部位に3度の骨移植を行った。各回採取時の骨の状態を肉眼観察し、写真撮影し記録として保存した。同標本を10%ホルマリン固定後、マイクロCT撮影し骨密度測定を行った。その後、標本は通法に従って脱灰後薄切切片とし、H-E染色ならびにコッサ染色の組織化学染色を行い鏡検する。 現在、2、4、8、12週における骨移植および採取移植骨の標本作製中である。採骨完了した4、8週におけるマイクロCT撮影を行い、骨密度測定を行った結果、正常時の顎骨骨密度を100%としたとき、待機期間4週の移植骨採骨1回目は17.05%、2回目15.21%、3回目12.70%で、8週の1回目は38.55%、2回目42.82%、3回目43.69%であった。待機期間が同週のものにおいて、骨密度は類似した結果となった。コントロールに関しては待機期間4週が41.04%、8週が49.06%であった。結果より4週および8週において、骨移植により3回とも同程度回復していることがわかった。 次年度では、引き続き骨創治癒過程での石灰化、病理所見について検討し、また同一個体、同一部位でのrepeated experimentの可能性を探り、その調節因子について検討する予定である。
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