研究課題/領域番号 |
13877349
|
研究種目 |
萌芽的研究
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
加我 正行 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (70125300)
|
研究分担者 |
長谷川 智一 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50274668)
小口 春久 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (30124689)
|
キーワード | TH-1培養細胞 / TNF-α分泌能 / 免疫反応 |
研究概要 |
目的:歯科材料から溶出する成分の生体に対する安全性の研究は数多く行われている。金属成分では、アマルガム中の水銀、鋳造修復物中のニッケル、またコンポジットレジンでは2-hydroxyethylmethacrylate(HEMA)やtriethyleneglycoldimethacrylate(TEGDMA)に関して報告されている。本研究では、これらの成分について、低濃度で顕著に細胞毒性を示さない量を2週間にわたり培養細胞に刺激を与えた場合に、細胞が分泌するTNF-αの影響について検討した。 材料と方法:ヒト由来単球系培養細胞THP-1を用い、HEMA(0-1.2mM)、TEGDMA(0-0.75mM)、Hg^<2+>(0-2mM)、そしてNi^<2+>(0-20mM)を添加した培地で2週間培養した。材料成分を添加した培地は4日毎に交換して実験を行った。その後、細胞を回収し、さらに24時間大腸菌由来LPS存在下、または非存在下で培養し、TNF-αの分泌能について比較検討した。 結果および考察:材料成分のみでTNF-αが誘導されたものはなかったが、LPS存在下では全ての実験群でTNF-αの誘導を認めた。HEMAおよびTEGDMAで刺激を受けた細胞はLPS存在下では、TNF-αの誘導は各成分の濃度に依存し、40-70%低下した。Hg^<2+>で刺激を受けた細胞はLPS存在下では、TNF-α分泌がHg^<2+>濃度に依存して増加した(2mMではコントロールの2倍)。Ni^<2+>によって細胞を刺激した場合は、TNF-αの分泌は影響を受けなかった。以上の結果から、一般的に顕著な毒性を示さない物質であっても、低濃度で長期間にわたり細胞に作用すると、細胞の代謝や免疫反応に影響を及ぼす可能性が示唆された。
|