再植や移植後の歯周組織、特に血管や神経組織の適応に対して矯正刺激がどの程度影響を与え、またどの様に変化していくのかを明らかにするため、実験モデルの作製とそのモデルから得られた標本をもとに、電気生理学的手法と免疫組織学的手法を用いて研究を行った。 まず、抜歯する歯およびその技術、移植処置の技術の熟達と、抜歯及び移植後の組織学的ダメージの度合いを検討するため、実験動物としてラットを用いて予備実験を行った。離れた部位への移植処置に先立ち、抜歯部位への再植を行い、再植処置後の口腔内及び咬合の状態としてどの様な状態が最適か検討を加えた。次に、血管の形態と機能の変化を免疫組織学的に検索するため、エンドセリンの抗体を用いて観察中である。神経組織のダメージの程度を確認するために、形態マーカーであるPGP9. 5と機能マーカーであるGAP-43を用いて免疫染色を行い、電子顕微鏡および光学顕微鏡レベルでの検討を加えている。また、感覚器として機能にどの様な変化が生じているか調べるため、歯根膜機械受容器の生理学的応答特性の変化についても、in vitro下顎-神経標本を用いて微小神経電図法の手法に従い、単一神経線維の活動電位を細胞外導出し、機械刺激に対する方向特異性や、閾値、伝導速度の変化などについて検討中である。さらに、実験動物に装着する矯正装置のデザインや使用する材料にについても検討を行っている。
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