研究概要 |
実験1: 抜去歯歯根膜より初代培養し,コンフルエントな状態に達した歯根膜細胞に対して生体染色材であるニュートラルレッドにて30秒〜3分,30秒きざみで染色時間を設定し染色した.染色の状態を実態顕微鏡にて観察後24時間培養し,細胞数をカウントすることで細胞のバイアビリティーを比較した.対照として染色しない細胞を使用した.その結果,1分以上の染色で細胞の形態を観察は可能であったが細胞数は明らかに減少していた. 今後,染色材の選択,濃度,作用時間の検索を進める予定である. 実験2: マイクロキャリアー(旭化成)1gに歯根膜細胞を1×10^4個播種し,1週毎に細胞数とアルカリフォスファターゼ活性を計測した.その結果,細胞数は播種後2ヵ月を経てプラトーに達しキャリアー材の中でコンフルエントな状態となっていることが予想された.また,アルカリフォスファターゼ活性は経時的に増加し,播種後3ヵ月を経ても増加の傾向が継続した. 実験3: 患者に研究内容を充分に説明し,同意を得た後,同一の熟練した口腔外科医により抜去された,正常に萌出した上顎第三大臼歯,または必要抜去された上下顎の小臼歯をセルストレーナーの中にマイクロキャリアー(旭化成)を満たした中に植立した.そのセルストレーナーを培養液を満たした90mm培養皿の中に入れ,37℃,5%CO2環境下のインキュベーター内にて1ヵ月間培養した.1ヵ月後,歯根面を実態顕微鏡にて観察した.その結果,歯根膜内に埋入した多数のマイクロキャリアーが観察された. 今後,培養時間,培養条件等を変え検討する予定である.
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