細胞分裂を膜脂質に注目し、申請者が開発した哺乳動物および出芽酵母を用いたpsychosine投与による細胞質分裂阻害の系を用い、細胞質分裂にどの様に脂質が関わるか、また細胞質分裂に関係する種々のタンパク質と膜脂質との接点は何かについて明らかにすることを目的として以下の実験結果を得た。 (1)生理的条件下でのPsychosineによる多核細胞形成の可能性を探るPsychosineの検出系としてモノクローナル抗体の作製は現在進行中である。また、Psychosineの前駆体であるGalactosil ceramideに対する抗体はPsychosineには反応しなかった。また、Psychosineによる多核誘導が限られた細胞種で起こるのかどうかと言う問題であるが、今向検討を加えたところ幅広い細胞種で同じ現象が起こることが明らかになった。このことは、生理的条件下でもPsychosineによる多核細胞形成がおこる可能性を示唆している。 (2)細胞質分裂阻害を起こす脂質の構造活性相関Psychosineの他にどの様な脂質が細胞質分裂阻害を起こすかについて検討した。その結果、疎水性部分のスフィンゴシンは重要であり、アミノ基をアセチル化するとその活性は消失することが明らかになった。親水性部分のgalactoseはglucoseでもよく、硫酸基がつくと活性がやや下がった。
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