異物排出トランスポーターである多剤耐性関連蛋白2(MRP2/ABCC2)は、肝細胞胆管側膜に発現されているが、LPSにより誘発される病態時等では内在化されることが報告されている。なお、LPS投与により、クッパ_細胞よりIL-1、TNF-alphaなどのサイトカインが放出されることが報告されている。これらのサイトカインにより、protein kinase Cが活性化されうること、また、protein kinase Cを活性化することによりMRP2の内在化が生じることも報告されている。そこで、これらのサイトカイン刺激によりMRP2の内在化が生じるのか、またサイトカイン刺激によりprotein kinase Cが活性化されているのかについて、培養HEPG2細胞を用いた実験系を新たに確立し、検討を加えた。HEPG2細胞の細胞間に形成されるMRP2陽性の偽胆管の数を、抗MRP2抗体を用いながら共焦点レーザー顕微鏡下で計測した。その結果、kinase Cを活性化するとMRP2陽性偽胆管数は減少し、protein kinase CによるMRP2の内在化という過去の報告が確認された。さらに、IL-1およびTNF-alphaによりMRP2陽性ホルポールエステルによりprotein偽胆管数は減少し、これらサイトカイン刺激によってもMRP2の内在化が生じることが始めて明らかとなった。一方、現在までのところ、これらのサイトカイン刺激によりMRP2のリン酸化が促進されるという結果は得られておらず、この点については来年度更なる検討を加える予定である。また、極性を有するMDCK細胞に遺伝子導入するとMRP2が頂側膜上に発現されたことから、本遺伝子導入細胞も解析に用いられうることが示唆された。
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