本研究の目的は、超音波検査で表示される断面を、人体モデル上に重ねて表示することで、解剖学的位置関係を含む認識性を向上させ、判読者が超音波画像を理解しやすくなるシステムを作製することである。表示は、探触子の一端に設置した磁石によりその位置と傾きを検知し、あらかじめ作製された体のモデル画像に探触子の位置を重ね合わせ行う。本年度は、まず人体モデル画像を超音波画面の左下に表示し、その中に正確に探触子の位置が表示されるかを検討した。システムは、まず既存の超音波装置とパソコン(OS Windows2000 PC)をネットワークで結ぶことで超音波画像データを取り込みと同時にその動きをパソコンのモニターに表示する。この時、あらかじめ作成しておいた人体モデルを画面に左下に表示しておく。探触子につけた磁石と発生装置の近くに設置した磁気センサーで、探触子の位置および傾きの検知し、先の人体モデル上に表示する。すなわちネットワークで得られたリアルタイムの動画像と同時に、モデル上に探触子の位置が表示できるようになっている。試作機では、探触子の位置移動に伴う表示は完全にリアルタイムとまでは行かないが短時間でその動きに追従し、実際の位置とほぼ近い状態で表示され、臨床でも利用可能である。今後の検討方向は、現在パソコンで行っている画像処理を超音波装置内で行うための検討をおこなうこと、および本研究の目的である人体モデルに重ねた超音波像を表示するためのパソコンソフトの工夫、また装置の演算速度を考えながら画像表示の手法を検討することである。
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