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2001 年度 実績報告書

在宅ケアに必要なケアの要素に関する質的研究

研究課題

研究課題/領域番号 13877410
研究種目

萌芽的研究

研究機関熊本大学

研究代表者

東 清巳  熊本大学, 教育学部, 講師 (90295113)

研究分担者 永田 千鶴  熊本学園大学, 社会福祉学部, 講師 (50299666)
キーワードケアの本質 / 在宅ターミナルケア / 成長過程 / 対処能力 / 看取り
研究概要

【目的】M.メイヤロフは,ケアとはその人の成長を助けることと述べている.ケアのアウトカムについては,費用対効果などの研究があるが,成長を明らかにした研究はみあたらない.そこで本研究では,家族の成長が顕著に現れると考えられた在宅ターミナルケアの事例について,ケアのプロセスを追い家族の成長過程を検討した.
【方法】平成10〜13年度の事例検討会に出された在宅ターミナルケアの6事例を対象に,事例に関する資料およぴ検討会の報告内容を分析対象とし,家族の成長過程について質的に分析した.
【結果】事例1では,介護者である嫁は,ケアに関わらせない療養者に対して複雑な思いを抱いていたが,ケアの過程において,その思いが表出されることはなかった.しかし,安らかな死の看取りの後,嫁は気持ちを表出し,他の家族も介護を労うまでに成長した.事例2では,介護者である妻には,強い医療不信によるケアの拒否が認められた.しかし,信頼関係の深まりにつれ,看護婦に自己を表出し依存するようになる.死の間際には,死の受容の揺れが認められたが,最終的には良い看取りと満足を示した.事例3では,医療者への不信と偏見から,在宅ケアに失望し,看護婦との信頼関係も急激に崩れる.しかし,新しい訪間看護体制を受け入れ,結果的には良い看取りと満足を表した.事例4では,介護者は知識不足から,ケアに神経質となり,看護婦の能力を試したり,自立を妨げる過剰なケアを行っていた.在宅療養に対する揺れも認められたが,看護婦への信頼により徐々に安堵し,家族による看取りが達成された.事例5では,介護者は介護に関する様々なことが決断できず,療養者の死に関しても受容と揺れを繰り返した.しかし,ケア能力が向上し,最終的に良い看取りと感謝を示した.事例6では,介護者は療養者の死を受容できず,医療よりも民間療法を優先したケアを行っていた.しかし終末期であることを認めた家族は,死を受容し良い看取りと満足を表すまでに成長した.
【考察】家族による終末期介護には,強いストレスと頻繁な揺れを伴う.この様な中,介護を中断せず死を看取ったことは,ケアがもたらした成長といえる.これは全ての事例に認められたが,その過程は家族の対処能力によって多様であり,提供するケアはその能力に応じて,待つ姿勢や揺れにつきあうなど「バランスをとる」必要性が示唆された.

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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