【目的】在宅での看取りを達成するために、家族がケアの過程で生じる困難な状況にどのように対処したか、家族対処の特徴と家族の成長、およびその家族対処を促すためになされた看護介入について検討した。 【対象および方法】平成10〜13年度のK県訪問看護職研究会の事例検討会に出された、在宅ターミナルケア6事例の家族と、その事例を担当した訪問看護師6名である。方法は、事例検討会で報告された内容の中から、訪問看護師が捉えた家族の成長に関わる部分を抽出し、とられた家族対処の内容を質的に分析した。また家族対処を支えた看護介入についても分析し、それぞれの構造を明らかにした。 【結果および考察】家族対処として、<情緒的支え合い><セルフケア能力の向上><介護者役割を引き受ける><自己表出><あきらめる><依存><揺れ><死の受容><こだわる><療養者の意向に添う>の10項目が抽出された。その特徴は、核に<こだわる>があり、それを前提に<療養者の意向に沿う>と<介護者役割を引き受ける>があった。そして、これらがく情緒的支え合い><セルフケア能力の向上><自己表出><あきらめる><依存><揺れ><死の受容>という家族対処を支えていた。 家族対処を促す看護介入として、[承認][安心の保証][受容][傾聴][待つ][力を強くする][関わり続ける][受けとめる][共感][専心][指示する]の10項目が認められた。その特徴は、核に[こだわる]と[専門的知識・技術]があり、これらを基盤にして在宅での看取りに向けて[関わり続ける]ために、[承認][安心の保証][受容][傾聴][待つ][力を強くする][受けとめる][共感][専心]といったケアが、[バランスをとる]ケアに支えられながら提供されていた。 本研究の家族は、ターミナルケアという困難な状況を、様々な対処方法を用い、また看護師の専門的介入によって乗り越え、5家族が在宅死を看取り、1家族が死の数時間前まで在宅ケアを続けていた。すなわちケアの結果としての成長が、全家族に認められた。
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