学生の看護職者への第一段階の完成を目指す授業である看護基礎実習において、状況に対応しながら、対象の持てる力を引き出すように看護過程を展開している学生の判断過程に注目し、筆者が直接指導した学生の看護過程から研究素材を作成し、分析しているところである。 分析過程において、学生は、看護の視点から全体的に捉えた対象の事実の中から、意味のある事実を捉えていること。そしてその事実の意味を、今まで生きてきた過程の中で得てきた知識や経験、更に専門教育で修得してきた知識や経験を自己の頭の中に呼び起こしながら考え、対象特性を捉えていること。更には、捉えた対象特性の相手の位置に移って感情を追体験し、その人にとって意味のある看護とは何かを問いかけながら関わっているといった、看護過程における一連の判断過程が見い出せた。 また、こうした学生の判断には、直感的なもの、経験則によるもの、概念的に行うものがあることも見い出せた。 今後は、こうした観点から更に研究素材の分析を進め、看護実践における学生の判断過程を構造的に明らかにし、判断能力を発展させるための基礎看護学教育について検討していく予定である。
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