研究課題/領域番号 |
13877415
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研究機関 | 九州看護福祉大学 |
研究代表者 |
竹熊 千晶 九州看護福祉大学, 看護学科, 講師 (20312168)
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研究分担者 |
徳永 淳也 九州看護福祉大学, 社会福祉学科, 講師 (30343370)
田口 宏昭 熊本大学, 文学部・地域科学科, 教授 (20040503)
日高 艶子 鳥取大学, 医学部・保健学科, 助教授
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キーワード | 「のさり」 / 運命 / 苦難 / 地域ケア / 引き受ける / 伝承 |
研究概要 |
1.アンケート調査について:調査地域のケアに関する住民の意識とつながりを明らかにするため、予備調査を行いながら、アンケート調査表を作成し実施した。地域住民用と中学生用の2種類である。 (1)予備調査について:アンケート内容の検討及び地域住民の協力依頼のため町役場、教育委員会、町立中学校、区長、老人会長、民生委員らを訪問した。調査協力が得られ、さらにこの地域における日常生活の中での住民のつながりや「のさり」という言葉についても予備的なインタビューを行った。その内容をもとに調査項目を検討し作成した。 (2)地域住民へのアンケート:対象としたのは、G町の3地区において選挙人名簿に記載されている住民の中から各世帯1名である。37の質問項目を用意し、全戸訪問の質問紙による面接調査を行った。調査対象者252人中、有効回答数152票であった。この調査及び、補足調査を結果報告書としてまとめた。 (3)中学生へのアンケート:G町には二校の中学校がある。内、本島のG中学校において全生徒(104名)を対象に17の質問項目からなるアンケート調査を行った。現在集計中である。 2.インタビュー調査について:これまで面接訪問を繰り返していた2家族と役場職員に対して行ったインタビュー内容を分析し論文を作成した。その結果、「のさり」という方言は日常の慣用語として人々の間で使用されているが、病いや障害に苦しむ人やその家族によっても使われ、不本意な運命を受け入れるために機能していた。この言葉は、人々が苦難な状況を引き受けるための知恵としての役割を果たし、この言葉を使うことで自分の不運を運命とみなし、ゆえに神の恵みとして引き受けることを体験していた。この内容については家族看護学会誌にて報告し、国際家族看護学会においても発表する予定である。 3.次年度への課題と目標:ボツワナで行われる国際家族看護学会において「障害を包み込む文化としての『のさり』」として発表を行う予定であるが、その際に諸外国における老いや病いや障害といった苦難の状況に対するものの見方について予備調査を行うつもりである。また、国内においても日本家族看護学会にて、アンケート調査の報告を行う。又、実施したアンケート調査について各要因の関連性について分析を進め、人々の中で使われる方言「のさり」との関連も含め、3年間の調査報告書を作成する。
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