研究概要 |
本年度は北陸経済圏の国民経済における位置づけと、対岸諸国(韓国や中国、ロシア)の地域構造分析を中心に研究を行った. 北陸経済圏の分析では,構造不況業種が北陸経済圏の骨格を形成し,その中でも富山が重工業に特化している以外は,軽工業の比重が高いことがわかった(新潟は分析中). また,北陸に進出している先端技術型企業では,その輸送が神戸港など北陸地域以外からおなわれることが多く,地元の港湾利用が少ないこともわかった.この点から,産業と輸送をいかに結びつけるか,そして北陸全体を縦断的に結ぶ高速道路などを,どう有効活用していくかなどが課題として摘出された. 沿岸諸国では特に中国全体の経済発展が目立つものの,東北地域(特に遼寧省)は相対的に成長速度が遅く,北陸地域との経済交流活発化が一つの活性策となりうることが地域調査からわかってきた.また韓国のプサンなどではハブ港化が進み,この利用を北陸経済圏としてどう位置づけていくかも課題として摘出できた.ロシアの極東地域は,経済的には自立が遅れており,産業基盤の形成と国際資本の導入が課題として残されている. 以上のことより,北陸地域を含む沿岸国・地域が,国際経済圏を形成していくには,産業構造や交通インフラの面でまだまだ有機的に連携しているとはいいがたく,課題を多く残していることがわかった. 次年度はこの点を踏まえて,アンケートなどを行いながら,より実態に迫っていく計画である.また,今年度の研究成果は「日本地理学会秋季学術大会」(秋田大会2001.9.29)のシンポジウム「日本海側の日本における地域産業・生活を再考する」にて「北陸地域と対岸諸国との経済交流の実態と課題」として柳井が報告した.
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