研究概要 |
本研究では,児童・生徒が普通教室用の机・椅子を使用している場合に,自分の身体寸法に合った家具を使用しているかについての実態調査を行い,その問題点・改善点を検討することを目的とした。沖縄県内の小学校5校と中学校4校,高等学校2校において,普通教室用の机・椅子に関する使われ方の写真撮影とビデオカメラ撮影による実態調査,アンケートによる児童・生徒・クラス担任教諭の机・椅子に対する意識調査を行い,次の結論を得た。 1,調査対象の学校に設置されている机・椅子の号数と,身長から算出した児童・生徒が必要としている号数との構成割合を調べると,小学校の場合は,適正な家具よりも1〜3号大きな家具が配分されているケースが多く,過不足数をみると,机では5号以上で,椅子でも5号以上で不足数が生じていた。また,中・高等学校でも,適正な家具寸法より大きなサイズが配分される傾向が強く,3号以上の家具で不足数が目立った。 2,小学校の場合,児童の身体寸法に椅子・机の号数が共に適合している完全適合率は,全体の11.9%と低い値を示した。また,中学校の場合は12.3%,高校の場合は10.2%となり,同様に低い完全適合の割合を示し,児童・生徒が自分の身体に合わない家具を使用している実態が明らかになった。 3,それぞれの学校の所有する机・椅子を,児童・生徒の身体に合わせて再配分することを考えた場合,机と椅子の完全適合が18〜48%も上昇することがわかった。 4,アンケートによる児童・生徒の机・椅子に対する意識調査を行った結果,脚のがたつきや表面のきたなさなどの老朽・破損等に関する苦情が多く表れていたが,家具の高さや重さについての苦情は少なかった。また,適正なサイズより高い家具が多く配分されていたにもかかわらず,使用している机・椅子を「高い」と感じる生徒より,「低い」と感じる生徒の方が多く,全体的に高いサイズのものを好む傾向がみられた。
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