ことばに啓わるコミュニケーション機雛(AAC)及ぴ既製のAAC利用を文援する機器、「トーキングカード」の開発を目的とした研究である。 トーキングカードは名刺サイズの薄型の音声録音機であり、カードに音声録音・再生装置とスピーカーが内蔵してある。カードの表面に絵や写貞、文字を自由に貼ることが可能である。あらかじめ、話し手(カードの使用者)が必要とする語彙(ことば)を音声人力し、カードの表面に絵や写真を貼る。カードの表面をさわることで、話し手が自分の意思を表出できる。精神年齢3歳未満の人でも使用が可能である。 今年度の結果は以下の通りであった。(1)作成したプロトタイプの大きさは当初計画したもの(名刺サイズ)の2.5倍程度であった。(2)障害児教育関係者によるトーキングカードの5段階評価(最高点5.00)は、総合3.09(どちらともいえない)であった。(3)出力の操作性(4.14)、機能(3.71)、支援機器としての効果(3.71)の評価点が高かった。(4)耐久性(1.57)、音質・音量(1.86)、大きさ(2.57)の評価点が低かった。(5)障害のある子どもに適用したところ、「押す」ということで音声メッセージを表出することはできるようになったが、「押す」ことで要求機能を表すことはまだ困難であった。 次年度の課題は以下の通りである。(1)評価点が低かった項目の改良。特に、音量・音質、耐久性、大きさ、重量は早急な課題である。(2)障害のある子どもへの臨床実験データの収集。特に、ことばのない子どもに対するAACとしての妥当性の検証が必要である。(3)トーキングカードの教育現場への適用。教育現場のニーズに対応した臨床実験を推進する。
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