本年度研究事業の目標は、(1)研究環境の整備の継続と、(2)研究所の自己研修、特に、研究者自身による作画のためのプログラミングであった。このうち、(1)はおおむね目標を達成した。(2)は不十分ながらも、いくらかの前進を見た。即ち、(1)は、機器の整備とソフトウェアの整備に大別できるが、機器の整備は目標を達成した。ソフトウェアの整備は、当面OSにWindows-XPを採用し、習熟に努めた。作画ソフトに関しては、いくつか試みたが、結局、VisualBasicを用いることに決めた。同ソフトは視覚障害者対応の音声化に問題があるが、ソフトの性能面から判断して、音声化の困難を克服しても利用価値があると判断して、習得訓練を開始した。本年度の具体的目標は、弱視の研究者が自力でパソコン画面に描画をすることであった。この目標は一部達成された。本年度は視覚障害補償の介助者との協力関係も円滑に推移し、また、新たな研究協力者も得られて、研究はようやく順調に軌道に乗ろうとしている。第2年度の終わりにも公表すべき成果がないことは遺憾で、大いに反省している。最終年度に当たる来年度は急ピッチで研究を遂行する必要がある。弱視の研究者がパソコンの習熟に手間取るのは一見迂遠な道と思われるかもしれないが、内視現象という本人にしか見えないものをパソコンで表現しようとする限り、この道は避けて通れない道である。来年度は一刻も早く本来の目標を達成することに努める。
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