昨年度に引き続き、本年度も継続的に以下の観点について検討した。 第1にアクションリサーチの研究手法について文献研究を深め、その成果は教育心理学会での発表や「心理学研究法」(放送大学)に発表した。なお本年アクションリサーチに関する歴史的資料等を収集し、アクションリサーチのリサーチクエッションの次元とデータ収集方法・分析方法と循環サイクルのありかたによって、現在までに実施してきた教師教育分野のアクションリサーチを整理することを試みた。その成果は、レビューとして次年度に論文化し発表する予定である。 第2には研究時におけるアクションリサーチの記録と道具の使い方を検討するために1箇所の場所での縦断的研究の持つ意味、短期場面再生刺激法を用いる意味について検討した。前者で実際に実施したごっこコーナーでの役の生成・成立に関する研究については、「東京大学教育学研究科紀要」と「保育学研究」に発表し、同一箇所で縦断的研究をすることで幼児の対入的な関係と遊びのスタイルが記述可能となることを実証した。 第3には、実際に幼小連携の実践研究に関与するとともに、そこで実際に行った実践事例の検討をもとに、研究知見を保育学研究や初等教育資料に発表した。幼小の園児・児童の交流のみではなく、教師間の事前の計画とビデオを用いた研究協議によって実際にどのような会話がなされるかを記録におさめると同時に、それらの事例から幼小教師の差異を検討した。
|