研究概要 |
「総合的な学習」のねらいの1つである「自らの生き方」について、直接対応可能と考えられる「子どものための哲学(Philosophy for Children)」を取り入れた「総合的な学習」のカリキュラム開発を行うために今年度は以下のような研究を遂行した。 1.延岡市立東小学校を日本におけるパイロット校として,5年生を対象に,前年度オーストラリアのFriends'Schoolで実践され,授業分析した「Geraldo」を日本版にした「子どものための哲学」授業を行った。日本における実践授業においても子どもたちの学習活動の様子をアナログ的に記録するとともに「問い」の立て方,論究の仕方をプロトコル分析した。 2.「子どものための哲学」授業を分析する方法論としてDr.T.Sprodが開発したEpistemic Episodesについて検討し,南伊豆町立竹麻小学校3年生における総合的な学習に適応を試みた。 3.「子どものための哲学」授業の効果を測るためのリーズニングスキルズテストを前年度米国IAPCにおいて収集したNew Jersey Testを参考にして作成し,延岡市立東小学校5年生,加古川市立氷丘中学校3年生において試行した。現在,これらのデータをもとに正式版を作成中である。 4.米国IAPCより入手した「子どものための哲学」のテキストのうち,現在までに「キオとガス」(不思議な世界),「ハリーストットルマイヤーの発見」(哲学的探求)の翻訳がほぼ修了した。また,これらのための教師用マニュアルについても現在検討中である。 1,2,3の成果については日本教科教育学会第28回全国大会,及び日本理科教育学会平成14年度支部大会にて発表した。 来年度はこれらのデータをもとに日本版の「総合的な学習」:「子どものための哲学」授業の実践可能なカリキュラムとその教材を開発する予定である。
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