研究概要 |
「子どものための哲学(Philosophy for Children)」を取り入れた「総合的な学習」のカリキュラム開発を行うために今年度は以下のような研究を遂行した。 1.昨年度に引き続いて,延岡市立東小学校で5年生の3つ学級を対象に「子どものための哲学」授業を行った.本年度はIAPCが作成した教師用のマニュアルに準拠し「ハリーストットルマイヤーの発見」(哲学的探求)のテキスト,教師用マニュアルから第1章と第7章を取りあげ,6時間分の指導計画案を作成し授業実践した.また,この授業の効果を検証するためにNew Jersey Testを参考として開発した日本語版Reasoning Skills調査票を作成した.授業実践の結果, New Jersey Testで取りあげられる22領域全てのSkillを伸ばすまでには至らなかったが,本授業で中心的に取りあげられていたSkillについては有意にその能力が伸びていたことが明らかとなった. 2.昨年度の実践と本年度のものを比較し,改善できた点や総合的な学習への導入について検討を行った.特に,昨年度問題点となった哲学的討論の時間の十分な確保については,授業1時間分のテキストの量の調整や哲学的討論までの指導の工夫,時間配分の変更等を行った結果,本年度は十分なものであったことが明らかとなった.そして。これらの視点を取り入れた「総合的な学習の時間」における「子どもの哲学」授業の年間試案を完成させた. 3.また,「キオとガス」(不思議な世界),「ピクシー」(意味の追究),「ハリーストットルマイヤーの発見」(哲学的探求)については完訳し,それらに対応する教師用マニュアルの検討もほぼ終了した. 1,2,3の成果については日本理科教育学会第53回全国大会,及び日本教科教育学会第29回全国大会にて発表するとともに,3年分の研究成果を報告書としてまとめた.
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