本研究は、英語の語彙の意味を身体化・視覚化するという過程を介在させて、意味の理解と記憶を高めて言語の獲得を促進する方法を研究するのが目的である。研究の方向は大きく二つある。一つは、アメリカ手話における語彙の表現動作を調査して、語彙の意味と動作の関係を分析することである。もう一つは、英語の基本的が概念が身体的な経験に基づいて形成されている構造を明らかにすることである。 本年度は、まず、7月に2週間Gallaudet大学てのVisual Gestural Communicatlonの講座に参加して、具体的な身体表現の方法を学ぶと共に自然なジェスチャーと手話言語との関係に関して考察を深めた。現在、収集した資料を基に、アメリカ手話の基本的な語彙の動作を分析中である。手話語彙には、アメリカ文化独特の背景から形成された語彙やマニュアル・アルファベットを用いる語彙もあるが、基本的な語彙の多くは現実世界の事物や身体的経験の模写的要素を持ち、本研究の目的に大いに利用できることが判明した。 次に、英語語彙に関しては、身体的経験から抽出された身体イメージの型(イメージスキーマと呼ばれる)を基に語彙の意味の多義化を説明する意味論関係の研究論文を取り寄せて、身体経験と語彙の意味構造の関連を考察している。語彙の理解や表現を動作を取り入れることは、単なるパントマイムとしてではなく、語彙の意味形成の仕組みに沿う動作として、個々の語彙の意味の理解や記憶に役立つのみならず、英語の概念体系を明確に把握するうえでも有用であるとわかった。
|