研究概要 |
アメリカ手話をまったく知らない学習者が手話動作と英語の基本的な語彙をどの程度関連づけられるかを調査した。調査対象語彙は北海道大学英語語彙表の第一水準単語リストの786語と新グローバル英和辞典の中学必修語1000語を参考にした。具体的には、5名の大学生に各語彙とその語彙に対応する動作のデモンストレーションを提示して、動作が対応する語彙の意味内容を明瞭に表している(3点)、動作を説明されると語彙の意味との関連が納得できる(2点)、説明を受けても語彙の意味との関連が理解できない(1点)という観点から語彙と動作の関連を判定した。その結果、10点を関連性を認める基準点にすると、両方の語彙表に共通する語彙でその動作が基準点に達した語彙は342語、北海道大学語彙表のみに属して基準点に達した語彙は23語、新グローバル英和辞典の中学必修語のみに属して基準点に達した語彙は83語、合計448語であった。この結果から、基本語彙約1000語の四割強の指導に動作が有効に使える可能性があると推測できる。 抽象語彙は手話動作で理解可能かという観点から、手話動作で抽象語彙を教えたクラス(実験群)とまったく教えていないクラス(統制群)の学生を対象にアンケー卜形式で調査した.その結果、両者とも動作は英語の学習に有効であるという意見で一致したが、抽象語彙の学習への動作の応用に関して正反対の意見に分れた。実験群の学生は動作を役割を高く評価したのに対して、統制群の学生は否定的であった。なお、取り扱った抽象語は、arrange, confuse, belong, quit, inspire, depress, improve, decline, forecast, recollectである。
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