本年度は計画通り文献研究と聞きとり調査を主として研究を進めた。 文献からは現在のネットワークプライシングに関する研究は、従来の純粋従量課金的なものから、より具体的で現在適用できる実用的な研究にその重心を移している。純粋な従量課金インターネットについての研究は1996年頃に一つのピークを迎えており、その後はデジタル化された電話や、QoSなどを前提としたプライシングが多く取り上げられている。 今年度は数多くの従量課金などと親和性の高い企業を積極的に訪問した。前半にはService Level Accountingのシステム開発会社を訪ね、開発の状況や、市場の状態を調査した。合わせてギガビットレベルでプロービング可能なデバイスの共同開発を複数の機器開発会社と検討した。米国Apogee社との直接の議論は東海岸への渡航が困難になったため来年度としたが、西海岸のP-Cube社などの従量課金的サービスを検討している数社を訪ね、経営者や技術担当者と直接議論した。プローブ開発の具体的な共同研究の検討までには至らなかったが、これらの会社は従量課金そのものについてまったく肯定的で、準備を始められる状態にある。 幾つかのコンテンツプロバイダ側企業の意見も得ることができた。Real社の課金プランは有料CATVに似るが、TVでは行なわれているPay per View的課金方式が彼らにはまだない。HDTV(高解像度TV)でも、それがデジタルであることを活かしたPay per View的課金モデルはない。Real社、HDTV関係の会社などでも、Pay per Streaming的な課金については肯定的だった。 現在は1Gbpsレベルでのトラフィック情報を継続的に収集することができるプローブの開発を準備中である。その需要が増している事も明らかになり、幾つかの企業には既にトラフィック情報を利用した応用用途が存在し、要素技術も揃いつつある。次年度は共同研究による開発を行ない、長期のトラフィック測定を開始する。
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