今年度はプライシング・ポリシーを持ったネットワークサービスの運用状況調査と、それを実現するために必要となるトラフィック計測システムの設計・開発のための検討を行った。 まず国内外の研究者や企業にインタビューを行い、研究状況を調査した結果、現在のネットワークサービスは帯域幅の拡大によって継続的なトラフィック計測そのものが困難な状況にあり、幾つかの研究組織でそのための機器を開発していることが分かった。つまり当研究に使える適当な機器は現在もなく、開発する必要がある。Gigabitクラスのトラフィックから全トラフィックを記録する試みは行われているが、安価に購入可能なハードウェアを用いて行う限り、本研究の期間では完成しない可能性が高い。開発目標を統計情報を継続的に抽出・記録できるシステムとした。 続いて開発すべきシステムの概念設計を行い、並行して国内外の企業や開発をおこなっている研究組織(例えば京都大学尾上教授、日商エレクトロニクス、NARUS Inc. IXIA Inc.など)とミーティングを持ち、共同開発の検討などを行ったが、既存の製品をベースに目的とするトラフィック計測システムを作成することは困難であった。検討しているFPGAによるアプローチはIXIAも採っていたが、製品は高価でありまたプログラマブルでない。別の企業ではネットワーク・プロセッサによる試作の経験があり、この方法については現在検討中である。現時点では共同開発の結果がでていないが、引き続き設計と共同開発の打診を行う。
|