研究概要 |
本研究では,物体に打撃を加えることにより,非破壊でその内部状態を推定するシステムの開発を行う.物体表面をCCDカメラで撮影した視覚情報,打撃の強さや振動の様子などの触覚情報,および反響音などの聴覚情報を統合することにより,物体内部の物質や空洞,異物の存在を推定・検出する.対象に打撃を加える事により非破壊で内部状態を推論する手法は,コンクリート壁の検査,医師の触診,缶詰の検査など,一般に広く行われているが,熟練者の経験に強く依存する,これを計算機上に低コストで実装するための基盤技術の確立が本研究の目的である. 初年度にあたる今年度は,対象物,センサを限定した条件で,内部状態診断装置のプロトタイプシステムの開発を行った.開発したプロトタイプシステムは,対象物に衝撃を与える打撃装置,マイクロフォン,加速度センサ,計算機より構成される.対象物としては,分量の異なる(空,半量,全量)二種類(プラスティック,スチール)の缶をとりあげ,計6種類の異なる状態の分類を試みた.今年度は,聴覚,触覚情報の統合に焦点を当て,聴覚情報としてマイクロフォンにより測定した打撃に対する反響音,触覚情報は打撃部(ハンマー)にとりつけた加速度センサにより獲得した.実験の結果,識別率80%,特に缶の材質に関しては100%の高結果を得る事ができた.本研究成果は,国際会議4件(内招待講演2件),学術論文1編にまとめられ,対外的な評価を得ている.
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