研究概要 |
診療履歴データを患者本人が携帯出来るような経済的なメディアとデータ形式を検討し、そのソフトウェア・ツールを開発する研究を行っている。 1、ソフトウェアと可搬メディアの実験 : データの表示については、通常の文字と画像情報をWebブラウザーで行い、複雑な画像情報はJavaによる画像処理プログラムで表示する方式が汎用性の観点から望ましいので、パブリックドメインにあるNIHのImage-Jを使用して実験し、MRI,CTなどの複雑な画像データに対してもこの表示の方式で実用上十分機能することを確かめた。また、可搬メディアと保存形式については、異なったプラットフォームからの読み出しも可能な方式をCD-Rのメディアで現在テスト中である。 2、診療データの転送・保存形式 : 電子カルテのHL7、医療画像のDICOMという国際規格に基づいて、日本国内ではXMLを用いたMERIT-9、MMLなど、診療データ表現の標準化が進行中であることから、XMLのSchema表現を使用して診療の履歴データの定義を試み、標準化された診療データとの互換性を保証しようとしている。サンプルデータとしては、乳幼児より成人に至るまでの診療履歴データが収録可能である。目的によっては、治療に有用である小児科の心身発達障害患者の治療データに焦点を合わせて編集することもできる。 3、診療データの開示と秘匿 : 診療データを患者本人に携帯させることから、プライバシーの保護は極めて重要である。Securityに関して現在最も信頼性があるPKI(公開鍵基盤)技術を用いて、診療側・患者側の双方からの情報の開示と秘匿の制御方式について検討を始めている。 4、今後の研究方針 : 初年度は研究発表までには至らなかったが、次年度は早期に可搬メディアによって配付可能なプロトタイプを組み上げ、学会発表などを通してフィードバックを得ながら、実用性のある研究成果を得たい。
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