本年度はデータベース構造の概念設計を論文およびウェブサイト(http://www.nomencurator.org./)で公表するとともに、それに従ったデータベースプロトタイプ及びユーザインタフェースの設計・実装を行なった。データ構造の設計過程において、公表した基礎構造を複数分類体系を許容する他のデータベース構造(FGDCモデル、IOPI、Pisces-II、Prometheus)と比較し、これらに共通する一般構造を抽出した。この比較検討結果についてはTDWG2001、Species 2000 AO等の国際集会で報告した。バックエンドデータベースとしてはオープンソースであるPorsgreSQLをサーバ用として採用したが、クライアント側の小規模データベースとしてオブジェクト指向データベースの利用可能性も同時に検討した。データベースサーバ側にはServletプログラムを実装した。 これに対するユーザインタフェースプログラムとして、テキストベースのコマンド指向ユーザインタフェース1例及びJava及びKFCによるウィジェットを用いたユーザインタフェース2例を試作した。テキストベースのユーザインタフェースは複数の分類体系の比較という点では難点があったが、ユーザの必要とする問い合わせのプロトタイピングには有効であった。このインタフェースの利用を通じてユーザから出された要求はバックエンドデータベースに反映させた。GUIを用いたもののうちひとつはデータ構造を直接反映させ多数のウィンドウを表示するものであったが、ユーザの混乱が見られたので、その反省に基づいてタブによる切替え機能を持ったユーザインタフェースを作成した。これにはツリー操作による階層構造表示機能を持たせた。これらの成果に対して、地球規模生物多様性情報機構(GBIF)理事会より第1回Ebbe Nielsen賞が授与された。
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