将来における具体的な広告映像制作を支援する(広告映像の修辞を生成する)情報システムを考える場合、広告映像の具体的な映像技法を抽出し、その映像技法が視聴者に対してどのような効果をもたらすのかを関係づける必要がある。既往の広告研究、映像理論などで整理されている内容を踏まえ、広告映像の映像技法の抽出とその効果との関連づけ・体系化に関する枠組みを考察した。 既往の広告研究、映像理論などの文献を収集し、広告映像の修辞の観点から分析・体系化を試みた。分析・体系化においては広告関係者・映像修辞研究者に対するヒアリング調査も実施した。 広告映像の修辞は、広告内容(広告映像の内容的焦点:提供者が中心に表現されるか、商品やサービスが中心に表現されるか、消費者が中心に表現されるか、コミュニケーション状況が中心に表現されるか)、演出技法(映像の画面やショットの空間構成要素)、音技法(映像に付随する音の構成要素)、編集技法(映像のショット編集やモンタージュの時間構成要素)により構成され、これらの要素について、「付加」「削除」「代置」「交換」の修辞的操作が施されたものとして分析・体系化ができるという見通しを得た。 また、広告映像制作を支援するために映像の修辞を生成することを想定した場合、広告映像の修辞の認知的効果として、演出技法の効果(画面やショットに対して視聴者がどのような連想を抱くか)、音技法の効果(音に対して視聴者がどのような連想を抱くか)、編集技法の効果(編集やモンタージュに対して視聴者がどのような連想を抱くか)を考え、その連想キーワードや概念を基に映像を生成する情報システムを構築することが有効であろうという示唆を得た。 さらには、平成14年度以降の研究に備え、広告映像の修辞を作成・分析・蓄積・編集するための映像編集装置(パソコン、デジタルカメラ)を購入し、具体的な広告映像の修辞の作成・分析・編集が行える環境を構築した。
|