平成14年度は、広告映像における映像技法と修辞についての網羅的な調査・分析を実施した。 まず、現在放送されている具体的なテレビコマーシャル150本を対象にして、平成13年度に整理した枠組みに基づき、広告映像の修辞を体系的に分析した。 広告映像では、製品・サービスの機能や消費効果に対して、演出の付加(製品・サービスに芸能人などのキャラクターを付加する)、演出の代置(効果をアニメなどで表現する)、音の付加(効果と合わせて音楽を流す)、音の代置(効果を音で表現する)、編集の付加(効果のショットと製品のデザインなどのショットをつなげる)などの修辞的操作を行ったものが多く、これらの修辞的操作について体系化した。そして、これらの分析に基づき、広告映像に特徴的な映像技法と修辞を実践している製品としてビールをリストアップした。 次に、1987〜2002年における、アサヒビール、キリンビール及びサッポロビールの広告映像データベースを民間の広告調査会社から購入し、広告映像の修辞を体系的に分析した。広告映像の画面やショット毎に広告映像の意味(連想)ネットワークを作成し、平成13年度に整理した枠組み(広告内容、演出技法、音技法、編集技法)に基づき意味(連想)ネットワーク形態の分類・階層化を行い、広告映像の映像技法と修辞の詳細な体系化を考察した。意味(連想)ネットワークの作成には研究補助(アルバイト)を活用した。 ビールの広告映像では、ビールの「にがみ」「うまさ」「爽快さ」などを、「演出の付加(芸能人などのキャラクターにビールを飲ませる)、演出の代置(爽快さを水しぶきなどのCGで表現する)」「音の付加(ビールを飲むときに音楽を流す)、音の代置(ビールを飲むときにゴクゴクと音を出す)」「編集の付加(効果のショットと製品・サービスのデザインなどのショットをつなげる)」などの修辞的操作が顕著であった。
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