平成15年度は、平成14年度に分析したビールの広告映像を対象に修辞がある場合とない場合の映像を編集により生成し、広告映像の修辞に対する認知や消費反応(商品関与)の心理実験を行った。そして、平成13〜15年度における研究成果を総括し、広告映像制作支援情報システムの構築要件を整理した。 まず、平成14年度に分析したビールの広告映像4本(アサヒ1本、キリン1本、サッポロ1本、サントリー1本)を対象に、平成13年度に購入した映像編集装置により、修辞的操作がある場合とない場合の広告映像(アサヒ4パターン、キリン3パターン、サッポロ3パターン、サントリー4パターン)を生成した。修辞的操作は、「商品受容場面の広告内容の付加・削除」(アサヒ、サントリー)、「商品機能の広告内容の付加・削除」(アサヒ、サッポロ)、「商品機能の編集(時間的操作)の付加・削除」(アサヒ、サッポロ)、「環境の広告内容の付加・削除」(キリン)などに注目し、操作のあるなしにより、広告映像修辞自体、商品機能、消費効果などの認知に変化があるかどうか、商品情報請求、購入意思などの消費反応に変化があるかどうかの心理実験を行った。「商品コピーを文字で表現すると商品機能の認知を高める」、「商品機能と商品受容の場面を時間的に近くに編集すると購入意思を高める」などの実験結果が得られた。 次に、平成13〜15年度における広告映像修辞の体系化、分析、実験及び考察を総括し、広告映像制作支援情報システムの構築要件を整理した。広告映像修辞を、(1)広告ヒストリー想起技法、(2)広告内容技法、(3)演出技法、(4)編集技法、(5)音響技法、(6)全体修辞((1)〜(5)の組み合わせ)、の観点から体系化し、(1)を広告ヒストリーベース、(2)〜(6)をルールベース(ストーリールール、演出ルール、編集ルール、音響ルール、映像技法の組み合わせルール)として情報システム化する構想を示した。
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