本研究ではインターネットなどのネットワークにつながれた多くの計算資源を利用することによる並列分散型メタヒューリスティック手法の新たなアプローチを試みる。ここでは、ネットワークを介して並列分散処理の実現をはかり、その上で、有効なネットワーク型並列分散メタヒューリスティックアルゴリズムの開発を試みる。特に、探索空間や、問題自身を分割するデータ分割型探索に着目し、よりスピーディな計算を行うと同時により質の高い解を生成する新たなアルゴリズムの提案する。このとき多くの問題が介在するが、たとえば、各部分問題間の移動可能性が限られることにより、良質な解は生成されない。そこで、ネットワーク上を自由に動き回るエージェントを検討し、それに各種の能力を持たせることにより多様性の高い部分解の生成を行わせる。この提案方法により質の高い解を生成させるとともに、自由度の高い計算環境のもとで並列アルゴリズムを実現させる。 本年度は、複数の計算機をネットワークで結ぶことにより並列アルゴリズムを各CPUで分散処理する有効な並列分散システムを構築した。また、試金石的な組合せ最適化問題に対して、標準的な近傍集合、解移動法を構築し、低レベルなデータ分割型並列アルゴリズムの試作をおこなった。ここで、問題を分割した場合の整合性の問題や、解の移動限定性、通信時間パフォーマンスなど実際に適用する場合の諸問題を明らかにすることを試みた。特に、この並列過程における非同期的・並行的・分散的なシステムの挙動を確率ペトリネットで記述することによりモデル化し有効な並列分散メタヒューリスティックアルゴリズムにおける可能性を検討した。
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