研究概要 |
インターネット利用者の爆発的な増加に伴い,情報開示・取得基盤としてのwebページの価値がますます高まり,見やすく且つ情報性(informativeness)に富むページデザインモデルが求められている.また近年普及整備が急がれているWebアクセシビリティは,利用者の障害や利用状況に左右されないデザインを目指したものであるが,内容の質とその提示や展開の仕方により変化する情報性に関する指針を与えるものではない.提示・展開については,認知プライミング効果に基づいた松田のJS(Just-Suggestiveness)原則が,実用的な指針となることが期待される. 現在文字や画像主体であるweb利用は,近い将来音声を大幅に取入れ,利用者が自由に文字/音声を切換えるマルチモードとなることが予想される.本研究はこのような予想のもとに,視覚-聴覚を問わずアクセシビリティ及び情報性の高いwebページのデザインモデル構築に資する基本データを収集することを短期目的とし,総合的モデルの確立を長期目的とする.その初期モデルのために,Webの主要構成要素であるナビゲーションとコンテンツ別に,視覚-聴覚モードにおける特徴を実証的検証を経て明確にすることを2年間の目標としている. 本年度のテーマは「ナビゲーション機能」である.最初のステップとして実際に公開されているWebページの事例データを収集し,分析を行った.とくに,サイトのナビゲーション機能に着目し,各サイトが備えている特徴を抜き出し,その共通性をモデル化することを試みた.モデルが,人間の情報獲得プロセスに適応しているかを検討するために,実験のための仮想サイトを作成し,視覚-聴覚のマルチモーダルな情報提示条件による情報獲得状況を実験的に検討する段階に入っている.引き続き,次年度はコンテンツの分析を行い,実験的な検討を加える予定である.
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