研究概要 |
CHSヘリオトロン/トルサトロン装置において、トロイダル磁場を0.6Tから1.05Tまで可変し、20KW出力の2.45GHzマイクロ波を用いて水素、ヘリウム及びネオンプラズマの生成・加熱実験を行った。プラズマの次元的相似性を判定するために重要な3パラメータ(実効的衝突周波数ν^*,プラズマトロイダルベータ値β_t,及び実効的イオンラーマー半径ρ^*)の達成値とプラズマの静電揺動特性を調べた。得られたプラズマの電子密度は3-100x10^<16>m^<-3>,電子温度は5-20eVであった。このとき、実効的衝突周波数ν^*〜0.1-30、プラズマトロイダルベータ値β_t〜0.001-0.1%、また実効的イオンラーマー半径ρ^*〜10^<-3>-10^<-1>でありCHSの高磁場・大電力加熱条件下で得られるプラズマの周辺部からコア部のパラメータに近い。得られたプラズマの密度分布は中心で凹状となっている。また、100kW出力のホイッスラ-波によるプラズマ生成も行い、電子密度〜300x10^<16>m^<-3>、電子温度〜30eVのプラズマを得た。注目すべき点は、2.45GHzマイクロ波によりその正常波遮断密度の2倍から15倍の高密度プラズマが得られており、これは異常波がプラズマ周辺部のアッパー・ハイブリッド層で電子バーンシュタイン波にモード変換されたためと考えられる。 このような低磁場で高周波により生成したプラズマは、高磁場・高加熱電力下で得られるプラズマの各種無次元量に近い値を持ち、乱流輸送の模擬実験が可能となった。また、電子密度揺動の相対振幅分布は規格化小半径r/a=0.7から急速に増大し、最外殻磁気面の位置(r/a=1)で20%程度に達し、これまでに高磁場のトカマクやヘリカルプラズマで計測された揺動分布と極めてよく似た特徴を示している。また、r/a=0.9-1.0の極周辺部に急峻な密度勾配と電子温度勾配が遷移的に形成される放電も観測し、L-H遷移と類似した現象である。現在、引き続き電子密度、電子温度、電位揺動の特性研究を進めている。さらに、次年度には次元的相似性がより成立し易いように、さらに20kWのマイクロ波源を追加し実験を進める予定である。
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