研究概要 |
本研究では光を透過させる性質を有した色素増感型太陽電池を使った光・熱ハイブリットシステムの開発を目的としている.太陽電池セル,集光レンズ、集熱パイプからなるシステムで、太陽電池セルで発電し、透過した光を集光デバイスを用いて集光して,集熱パイプに照射させ,エネルギーを熱として回収するシステムである. 発電に用いる色素増感型太陽電池は酸化チタン半導体超微粒子を吸収色素で増感した光化学電池である.この電池は,主に可視光線領域の波長で発電し,800nm以上の波長の光はセルを透過する.現在の発電効率は最大約12%が報告されており、今後の効率向上は確実である.セルを透過する熱量としては約40%が確認されている. 本研究ではセルを透過した光を集光するための集光用レンズを設計・試作した.設計した非結像平面フレネルレンズは非結像光学系のレンズで平面の形状を実現したものである.横断面方向2°,縦断面方向12°の許容入射半角を有している.サイズはセルに太陽電池セルに合わせた150mm×400mmで集光比が20倍,光学的効率が900nmの波長光では83.2%である.レンズの集光特性はシミュレーションと屋外実験によって確認した.レンズはハイブリットシステムでは色素増感型太陽電池の下に密着させて使用する.セルと密着させることで透過光を逃さず集光することができ,またセルがレンズのカバーガラスの役割をする. 現在はセルを透過した光を熱として回収するシステムを考え,水を熱媒体とした熱回収装置を試作し,実験を行っている.
|