研究概要 |
1.液体窒素ターゲットを用いた^<14>N(n,γ)^<15>N即発γ線の測定。 相対効率90%のGe検出器で、液体窒素をターゲットとして統計精度の良い(0.4%)の即発γ線スペクトルを測定した。液体窒素を用いたターゲットは、70時間程度(京大原子炉の1週間に相当する)にわたり安定に働いた。また、コインシデンス測定では、検出器間の距離を近づけるために、重水素置換メラミンの粉末をターゲットとして用い、従来の文献では報告されていないγ線の確認に成功した。この結果、詳細な順位図式の作成が可能となった。 2.モンテカルロシミュレーションを用いたHPGe検出器の11MeV程度までのγ線検出効率の高精度決定法の検討。 従来、標準線源を用いて決定されてきたGe検出器の検出効率は、測定データを多項式フィッティングするため、用いる関数型によって目標とする制度1%を越えた系統的な波打ち現象がみられた。本研究では、モンテカルロシミュレーションコードEGS4を用いてシミュレーションで得られた全エネルギー吸収効率を、^<152>Eu、^<56>Co、^<14>N(n,γ)^<15>N即発γ線を測定して得られた実験値と直接比較し、その比がエネルギーの1次関数で表せることを見出し、関数型による波打ちのない検出効率を決定することを試みた。1%以下の精度を達成できる見通しを得た。 1,2の結果から、十分統計精度の良い実験データに基づいて、1%以下の精度で11MeVまでのγ線検出効率を決定する道具立てが整った。
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