DT40細胞より分離したDNAについてマウスミニサテライト配列Pc-1をプローブにしてSouthem解析を行ったところ、強くhybridizadonするバンドが見つかった。これをクローニングして配列を解析したところ、Pc-1にみられる反復配列であるGGGCAを繰り返し配列としてもつ部位と、これと1塩基異なる配列AGGCAの繰り返し部位からなるミニサテライト配列であることが明かになった。このニワトリDT40配列を指標にして放射線照射による突然変異誘発解析を行った。その結果、野生型DT40細胞では、照射により突然変異頻度が上昇することが明かになった。この突然変異生成にどの遺伝子が関与しているかを明かにする目的で、京都大学医学部武田俊一教授よりKu70欠損、Rad54欠損、Ku70/Rad54 2重欠損を分与いただいた。これらについて解析した結果、Rad54欠損株では放射線によるミニサテライト配列の突然変異が生じないことが示され、組換えの機構によりこの変異が生じることが示された。 酵母を用いた研究では、Ade2変異体を用いた。この変異体において、Ade2以外のAde関連遺伝子に突然変異が生じると、白色の細胞となる。そのため赤色のコロニーの中に白色のスポットをもつvariegatedコロニーではこの突然変異が遅延的に生じている可能性がある。X線を照射すると、遅延突然変異は相当の高頻度で生じることが明かになった。この遅延突然変異を示すクローンを分離して、様々な指標について解析したところ、遅延突然変異で生じた白色細胞ではAde関連遺伝子の突然変異ではなく、ミトコンドリアが脱落しているためであることが明かになった。すなわち、ミトコンドリアの不安定を見ていることになる。この不安定性を示す株について、広島の放射緑影響研究所で開発された2次元電気泳動注をもちいたゲノム解析を行ったところ、ゲノムの一部に突然変異を持つことが明らかになった。
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