膜タンパクエフリンをもつ細胞とそのリセプターをもつ細胞は、一般には互いに反撥することが知られている。しかし、我々がBilateral thresholdとよぶ機構により、特定のエフリン密度とリセプター密度では互いに寄りあうことが明らかになった。これは後で述べるように、網膜からの神経細胞が中脳視蓋でマッピングを起こすメカニズムとして明らかにされたものである。 今回、肢芽などの細胞において、同じ細胞がエフリンもレセプターも発現するとすると、同じレベルにこれらのタンパクを出現している細胞同士は寄り合い、異なるレベルでタンパクを出現している細胞同士は避けあうことにより、ひとりでに細胞が並び変わって、タンパクレベルの勾配が形成されることがわかった。この報告論文はDevel. Dyn.に受理され、最近出版された。この報告は、エフリンやそのリセプターがポジショナルインフォーメーション理論の位置価そのものであるよりも、むしろ位置価を持った細胞を適切な位置に配置し勾配を維持する役割をはたしていることになる。実験家にこの考えを提案した。 Bilateral threshold機構により網膜-中脳間に神経軸索によるマッピングができる。ところが、エフリンやリガンドをノックアウトやノックインしたマウスによる実験でマッピングに異常がおこることが知られている。これをBilateral threshold機構にもとづいて理解できるかどうか調べるために、細胞のいろいろな性質を取り入れたコンピューターシミュレーションを行っている。
|