研究概要 |
本研究では、低域値型カルシウムチャンネルα1Gの小脳機能における役割を明らかにするため、α1Gのノックアウトマウスを作製する。しかし、α1Gは、胎生期の心臓にも発現が強く認められるため、従来より行われている全身の遺伝子欠損では、胎生致死になる可能性が高い。この問題を克服し、成体での解析を可能にするためにCre-1oxPシステムを用いた小脳プルキンエ細胞特異的遺伝子欠損を生ずるような工夫が必要である。本年度は、研究の第一段階として、ターゲッティングベクターの構築からキメラマウスの作製を行なった。既報(1999, Klugbauerら)のマウスカルシウムチャンネルα1G遺伝子の塩基配列を用いて、マウス脳cDNAライブラリーよりα1GのcDNAをクローニングした。これをプローブにして、マウスゲノムライブラリーをスクリーニングし、α1Gのゲノム遺伝子構造を決定した。決定したゲノム構造をもとに、第一膜貫通領域をコードするエクソンをはさむように、1oxP配列をその上流と下流のイントロンに挿入した。このターゲッティングベクターにより、Cre酵素が存在する細胞のみで、2つの1oxP配列間の遺伝子領域は組み換えにより消失し、α1G遺伝子を欠損させることが可能となる。また逆に、Cre酵素が存在しない細胞においては、α1G遺伝子は正常に発現する。このターゲッティングベクターを、ES細胞に導入し、相同組み換えを生じたクローンをスクリーニングした。ES細胞をマウス胚盤胞に注入し、キメラマウスを作製した。
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