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成熟霊長類として成長したサルを実験動物として用いて、脳内におけるオリゴデンドロサイトの未熟細胞の存在の可能性について、免疫組織化学的手法を用いて検討した。成熟サルの脳を、麻酔後に屠殺し、取り出した脳を4%パラホルムアルデヒドで固定した後、脳室を含む前脳部分について厚さ10μmの前頭断凍結切片を作製した。免疫染色にはまず醤歯類のオリゴデンドロサイトを認識するモノクローナル抗体を用いて、陽性細胞を検索した。これらの抗体は、ラット脳においてオリゴデンドロサイトを未熟なものから成熟型にいたる段階を捉えることが分かっている。これらの抗体のうち、ラット脳の髄鞘部分の一部に特異的に反応する抗体が、サル脳においても同様に陽性反応を示すことが分かった。また、数は少ないが、陽性細胞も検出できた。他の抗体については、現在のところ、ラットで得られたような陽性反応を検出できていないが、固定液の変更ならびに抗原の賦活化などにより抗原を検出できるかどうかの可能性を検討しているところである。また、我々は、ステロイド代謝酵素である5α-リダクターゼが、オリゴデンドロサイトに発現することをラット脳において見出しているが、この酵素に対して作製した抗体を用いて検索したところ、サル脳内に多数の陽性細胞を検出することができた。細胞の形態等の所見から、これらがオリゴデンドロサイトであると判断された。これら検出された陽性細胞の内に、未熟なオリゴデンドロサイトが含まれているかどうかについて、現在検討しているところである。
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