研究概要 |
我々の研究室で,メダカ胚より分離した細胞の増殖条件を検討している間に,メダカ胚より樹立され長期間継代培養を行っている細胞株の培養上清(conditioned medium)を添加したところ,多数の胚細胞が規則的に収縮を繰り返す心筋へと分化することを見出した.そこで,培養上清に含まれる,未分化な細胞を心筋へと分化誘導する因子を明らかにするための研究を開始した. この研究の目的は,上に述べた培養上清に含まれる因子を同定することである.そのためには,まず分化誘導のバイオアッセイを行うための条件を検討し,安定なアッセイ系を確立することが必要であった.検討する培養法の項目としては,用いる細胞数,培地の量や加える培養上清の割合,用いるディッシュのコーティング,無血清培地の使用などがある.平成13年度における研究では,おもにこれらの培養上の基本的な条件の検討を行い,安定にバイオアッセイを行うことのできる条件を見出すことができた.また,2株のメダカ由来の継代培養細胞から得た上清を組み合わせることで,より多くの心筋を分化させることができた.このうちの一方にはおもに心筋を分化させる働きが,またもう一方にはおもに細胞を増殖させる働きがあると考えられる. さらにこれらのうちの,心筋を分化させる働きを持つと考えられるほうの上清について、その因子の精製を開始した.これについては,タンパク質の分画に精通した研究者の協力を仰いでいる.現在、その精製を進めているところである.
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