生体において、活性酸素種の生成・消去を制御する能力の低下と、様々な疾患との関係が明らかにされつつある。しかし、疾患とスーパーオキシド濃度との定量的な検討は非常に困難であり、生体局所でのモニタリング法の開発が望まれている。本研究では、生体における活性酸素種の生成・消去を制御する能力の低下と、様々な疾患との関係を定量的に検討する事を目指し、酵素固定化電極を用いたスーパーオキシドセンサを開発した。このセンサを用い、高血圧、エンドトキシンショックの両病態ラットについて、摘出臓器からのスーパーオキシド生成量を測定した。 スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)はスーパーオキシドの消去酵素であり、スーパーオキシド存在下において酸化還元反応が起こる。SODをPt電極表面に固定化し、SODの酸化電流値よりスーパーオキシド濃度を測定した。測定対象として、14週齢の高血圧、エンドトキシンショックモデルの両病態、およびコントロールとして、処置なしの健常ラットの摘出心臓、腎臓、肝臓からのスーパーオキシドの生成量を測定した。 測定には、血液回路のみと、血液回路に摘出臓器充填層を備えた回路で切り替えが可能な、並列回路型フローセルを用いた。潅流液としてKrebs-Henseleit bufferを用い、対極に対して+0.5Vの電位を作用極に印加し、摘出臓器充填層からのスーパーオキシド生成量を測定した。 測定の結果、健常ラットの摘出臓器からは、スーパーオキシドの生成は検出されなかったのに対し、両病態においては、スーパーオキシドの生成が確認された。各臓器において生成が確認されたが、高血圧では腎臓、エンドトキシンショックでは肝臓において顕著に生成した。
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