血液浄化療法において、動脈硬化症や透析アミロイドーシス等の合併症は、透析治療中の血中活性酸素濃度の増加に深く関わっている。しかし、活性酸素のリアルタイムモニタリングが非常に困難であるため、種々の検討は、血中の活性酸素由来の反応生成物や抗酸化物質濃度の測定によりなされている.本研究では、透析治療中の血中活性酸素濃度のモニタリング法と抗酸化活性という観点から見た生体適合性評価法の確立を目指し、活性酸素の一つであるスーパーオキシドに着目して、酵素固定化電極を用いたセンサを開発し、中空糸透析膜の素材やビタミンE修飾の有無によるスーパーオキシド消去活性を評価した。 スーパーオキシドの消去酵素であるスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)表面に固定化したPt電極を用いた。対極に対して+0.5Vの電位を作用極に印加し、SODの酸化電流値よりスーパーオキシド濃度を測定し、バッチセル内に浸漬させた中空糸透析膜フラグメントの抗酸化活性を評価した。バッファにはリン酸緩衝水溶液(PBS)を用い、スーパーオキシドはキサンチンのキサンチンオキシダーゼによる酸化反応により生成させた。中空糸透析膜によるスーパーオキシド消去率を中空糸透析膜フラグメントの抗酸化活性とした。 測定は、再生セルロース膜、ポリスルホン膜についてビタミンE修飾・未修飾の計4種類の中空糸透析膜フラグメントを用いた。セルロース、ポリスルホン共にビタミンE未修飾膜の場合にはスーパーオキシド消去活性を示さなかったのに対し、ビタミンE修飾膜の場合には20〜30%のスーパーオキシド消去活性を示した。なお、消去活性には膜素材による違いは確認されなかった。
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