研究課題
本研究は、2002年8月に愛知県立大学で開催予定の第11回国際中国語言語学会大会(The 11^<th> Annual Conference of Intemational Association of Chinese Linguistics 以下IACL-11と略称)のセッション編成企画を目的として実施された。中国語学の研究は、1980年以来、蓄積されたデータの質と量、分析に使用されている理論、そのいずれにおいても、それ以前と大きく変化している。また研究の細分化が進行していることも否めない。大会開催にあたっては、全体の動きの方向性に関して、国内の研究者が専門の枠を超えた知識を共有することが必要である。そのための研究内容としては、以下ふたつの面を含ませた。(1)近20年間における国内外の中国語研究の新しい動向の調査研究、およびその結果にもとづくIACL-11セッション編成計画の作成。研究の進展が著しい領域のうち、(1)現代語(普通話)文法に関して杉村博文・木村英樹が調査を担当し、中国大陸および米国学界の動向に関して詳細な報告をまとめた。研究協力者の支援を得て、1983年から2001年に公刊された(2)歴史文法の研究文献目録データをデータベース化し、その主要内容を報告書として印刷・配布、(3)同じ期間を対象とした方言文法の研究文献目録データをデータベース化だけ試みた。これら(1)(2)(3)は、会議企画の有用な資料であるばかりでなく、今後当分の間、日本の中国語研究者にとって参考価値をもつものである。(2)3回の全体会議を開催し(8月愛知・11月京都・3月京都)、専門分野を異にする中国語研究者間の積極的な意見交換の場を設け、中国語学全般がどのような状況にあるかを広く把握するよう努めた。特に、11月の研究会には中国大陸より衰毓林氏、呉福祥氏、台湾より林英津氏を招聘し、海外における新しい研究状況の紹介を行っていただいている。研究分担者の積極的な支持を得た本研究の実施により、セッション案の編成にあたって、国内外の研究動向をより綿密に反映させることができた点は、大きな収穫である。
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